境界(中心)にあるブロック塀の所有について

2023年03月29日

境界(中心)にあるブロック塀の所有について

田中さんは、長年住み続けた実家を売却することを決意しました。子どもたちはすでに独立し、広すぎる家を維持するのが負担になってきたからです。思い出の詰まった家を手放すことに寂しさを感じながらも、「次に住む人に大切に使ってもらえれば」と前向きに考えていました。

不動産会社に相談し、査定や販売活動が順調に進む中、購入希望者も現れ、売却はスムーズに進むかに見えました。しかし、契約直前になって思わぬ問題が浮かび上がります。

境界線上のブロックが引き起こした問題

ある日、購入希望者から「隣地との境界にあるブロック塀の所有はどちらですか?」という質問がありました。田中さんはこれまで特に意識したことがなく、「昔からあるものだから自分のものだろう」と曖昧に答えようとしました。

しかし、不動産会社の担当者は慎重でした。「境界上にある構造物は、隣地所有者との共有である可能性があります。きちんと確認しないとトラブルになることがあります」と説明したのです。

隣人との確認と気づき

田中さんは隣に住む佐藤さんに相談しました。すると、佐藤さんも「このブロック塀は先代同士で費用を出し合って設置したと聞いている」と話します。つまり、そのブロック塀は両者の共有物である可能性が高かったのです。

このまま曖昧な状態で売却すると、後々「撤去費用は誰が負担するのか」「修繕はどちらが行うのか」といった問題が発生するかもしれません。田中さんは初めて、不動産売却には見えないリスクが潜んでいることを実感しました。

専門家の力を借りる

不動産会社の提案で、土地家屋調査士に依頼し、境界の確認とブロック塀の位置関係を正確に調査することになりました。その結果、ブロックの一部は境界線上にあり、法的には共有物と判断される可能性が高いことがわかりました。

そこで田中さんと佐藤さんは話し合い、「現状のまま維持する」「将来的に撤去する場合は双方で協議する」という内容の覚書を交わしました。この取り決めを購入希望者にも説明し、納得してもらうことで、ようやく契約へと進むことができたのです。

売却を終えて思うこと

無事に売却を終えた田中さんは、「もっと早く境界のことを確認しておけばよかった」と振り返ります。不動産の売却は単に価格や条件だけでなく、こうした細かな点が大きなトラブルにつながる可能性があると学びました。

特に境界線上にあるブロックや塀、フェンスなどは、所有関係が曖昧になりやすい部分です。売却前にしっかりと確認し、必要であれば専門家の力を借りることが、安心して取引を進めるための大切なポイントです。

これから売却する人へのアドバイス

田中さんは、これから不動産を売却する人にこう伝えたいと考えています。「見えない部分ほど丁寧に確認すること」。境界や共有物の問題は後回しにされがちですが、早めに対処することでトラブルを未然に防ぐことができます。

思い出の詰まった大切な不動産だからこそ、最後まで気持ちよく手放すために。田中さんの経験は、これから売却を考える多くの人にとって、貴重な教訓となるでしょう。
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