- この記事のハイライト
- ●税金対策としてまずは6種類の税金があるということを知るのが大切
- ●所有年数や諸費用を明確にし、譲渡所得の計算方法を理解することが大切
- ●各種控除を利用した節税方法で税金対策が可能となる
不動産の売却には、いくつかの税金がかかるため、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。
そのため、売却価格のみを計算していると、売却が完了した後に手残りの金額が足りず、計画が狂ってしまうことにもなりかねません。
あらかじめ税金の種類や対策をしっかりと理解しておくことで、売却の計画を立てやすくなります。
計画的な不動産売却となるように、群馬県太田市を中心に不動産売却に携わっているエムズ不動産が税金についてご説明していきます。
なお、ここでご説明する税金や節税方法は、法改正により変わることもありますので、最新情報は国税庁のホームページなどでご確認ください。
目次
1.不動産売却にかかる税金の種類と対策とは?
2.不動産売却にかかる税金対策として大切な計算方法
3.不動産売却にかかる税金対策として有効な節税方法
4.まとめ
不動産売却時には、購入時と同じように諸費用としていくつかの種類の税金がかかります。
税金の対策として、まずはどのような種類の税金がかかるのかを知ることが大切です。
売却時には、「利益にかかる税金」と「利益以外にかかる税金」の大きく分けて2種類の税金があります。
利益にかかる税金(譲渡所得税)
利益以外にかかる税金
それぞれどのような税金なのかご説明していきます。
利益にかかる税金(譲渡所得税)
譲渡所得税は売却時に発生した利益に対してかかる税金のため、利益が出ない場合には課税されることはありません。
利益といっても純粋に売れて得た金額のことではありません。
では、どの部分に対して利益となるのかを見ていきます。
譲渡所得の利益とは、不動産を売却して得た金額から、その不動産を購入するときにかかった費用と売却にかかった諸費用(仲介手数料など)を差し引いた金額のことを指します。
この利益の部分に住民税と所得税、復興特別所得税がかかります。
利益以外にかかる税金
売却時には、利益に関係なくかかる税金もあります。
印紙税
不動産売買契約書に添付する税金です。
印紙税は、不動産の売却金額によってかかる税金で、売却金額が大きくなればなるほど印紙税も大きくなってきます。
- 100万円超500万円以下には、2,000円
- 500万円超1,000万円以下には、10,000円
- 1,000万円超5,000万円以下には、20,000円
- 5,000万円超1億円以下には、60,000円
- 1億円超5億円以下には、100,000円
登録免許税
売却時に、ローンが残っている不動産を売却する場合、抵当権がついておりますので、引き渡し前に抵当権を抹消する必要があります。
土地と建物は分けて考えられるため、土地と建物それぞれの抹消にかかる手続きにも税金がかかります。
消費税
売却時に発生する諸費用の一部に消費税10%がかかるものがあります。
仲介手数料や司法書士への報酬に消費税がかかります。
不動産売却には6種類の税金がかかることをご説明しました。
それぞれどのくらいの費用がかかるのか、税金の計算方法を知っておくとより税金対策として有効です。
とくに取引ごとに大きく異なる、税金の譲渡所得税の計算方法についてご説明していきます。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は、不動産売却の売却益によって異なり、下記の式によって計算します。
譲渡所得税=課税譲渡所得×税率
売却益とは、売却価格からその不動産の取得費や諸費用を引いた金額となります。
税制上では、譲渡所得と呼ばれるものです。
課税所得は以下の式で表すことができます。
課税譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除
この式の内容をもう少し詳しく見ていきます。
取得費の求め方
建物や土地を購入時にかかった金額のことです。
ここには、購入時にかかった諸費用も含まれてきます。
建物には、減価償却が発生するので計算には注意が必要です。
例えば、築10年の家を売却する場合、新築時と比べて10年分の価値が減少していることになります。
この部分を減価償却と言い、以下の式で表すことができます。
減価償却費=取得費×0.9×償却率×経過年数
償却率は建物の構造体や建物が非事業用か事業用かによっても異なります。
譲渡費用の求め方
譲渡費用には、売却時にかかった諸費用が含まれます。
例えば、売却時に支払った仲介手数料や契約時の印紙代、建物の解体費用などが譲渡費用に含むことができます。
このため、税金の対策として、売却時にどのくらいの諸費用がかかるかも知っておくことも大切です。
税率の求め方
税率は、長期譲渡所得税と短期所得税の2つに分けられ、売却する不動産の所有期間によって異なります。
所有期間が5年以下なら短期譲渡所得となり、税率は39.63%
所有期間が5年を超えていれば、長期譲渡所得となり、税率は20.315%
となります。
所有期間は、不動産を取得した日から売却した日のことを言います。
取得日は、引き渡しを受けた日のことを指しますが、手放す際は、売却した日ではなく、売却が決まった年の1月1日を指しますので、ご注意ください。
ここまで売却時にかかる税金をご説明してきました。
このままでは、売却価格の金額や所有期間によっては、多額の税金がかかることになってしまいます。
ですが、多額になってしまう税金を抑える節税方法があります。
それぞれの節税方法をご紹介します。
居住用財産の3,000万円特別控除
居住用財産を売却した場合には、所有期間にかかわらず、譲渡所得から3,000万円控除することができます。
この控除を上手く使用できれば、課税価格をゼロにすることもできます。
ただし、いくつかの要件がありますので、よく確認をしてください。
- 自分が住んでいる家屋または、家屋と土地を売った場合
- 住まなくなった日から、3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 家屋を解体する場合、解体した日から1年以内に土地譲渡契約を締結し、かつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 家屋を解体してから、譲渡契約を締結した日までに、貸駐車場などの用途で使用していないこと
- 売った相手が近親者でないこと
特別控除を使用した場合には、確定申告が必要となりますので、売却した翌年にはしっかりと確定申告をしましょう。
10年超の居住用財産を譲渡した場合
5年を超えると長期譲渡所得として短期よりも税率が下がりますが、解体された年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている場合には、更に税率を下げることができます。
6千万円以下の部分は、14.21%
6千万円超の部分は、20.315%
10年超の特例を使用する場合も上記3,000万円特別控除と同じ条件が必要となります。
こちらの特例は、3,000万円特別控除と組み合わせて使用することができ、併用することで、税金対策としてより軽減することができます。
その他の特例
上記特例の他にも該当者は限れてはきますが、公共事業などのための売却であれば、5,000万円まで控除が可能になるなどいくつかの控除もあります。
また、期限が定められた控除も今までいくつかありました。
最新の控除では、通常よりもお得な売却をすることができる可能性もありますので、いざご自身が売却となる際には、不動産会社に相談したり、国税庁のホームページを見て、最新の控除情報を確認してください。